情動反応と準備的姿勢筋緊張

「大事な人が危ない時に身を挺して守ったりする」

 

頭で考えるよりも先に体が動くという場面って想像できますよね?

 

(とはいえ、あのとき、ピッコロが悟飯を守るとは思いませんでしたが。)


つまり、意思決定→準備的姿勢筋緊張→行動、ではないんです。

 

動機付けや外界からの情報→情動反応(大脳辺縁系)→大脳基底核→準備的姿勢筋緊張→意思決定→行動、なんです。

 

大脳辺縁系は、好きや嫌い、うれしいや悲しい、安心や恐怖、または興味や不愉快といった情動や意欲を表出するため、情動系とも呼ばれます。


そして、その情動系の反応に大脳基底核が応じて、これからどう動くか(または動かないか)の準備がなされます。


その準備が、姿勢緊張とバランス戦略の準備であり、準備的姿勢筋緊張と言います。

 

情動系の反応が、好き、うれしい、興味あり、安心、などポジティブな場合には積極的に動くための姿勢緊張やバランス戦略の準備が起こり、嫌い、悲しい、怖い、不愉快といったネガティブな場合には、なるべく動かないで、自己防衛する状態になります。

 

そして、この準備的姿勢筋緊張に従って(矛盾しないように)、大脳前頭前野は「よし、こうしよう」と行動計画を立てるのです。


つまり、まず、こころが動き、こころに応じてからだが準備され、それに従って(意味をつけて)動く、ということです。

情動反応が低くなっている患者や、注意が低下している患者の問題は、上述の準備的姿勢筋緊張が不十分になることです。
そのような患者は、どことなくボーっとした印象で、とくに動き出す際の姿勢制御が不安定になります。


例えば、立ち上がる際に失敗しやすく、後方に転倒しやすい患者です。

 

立ち上がるための姿勢緊張が不十分なまま立ち上がり動作が開始されるためですね。

準備的姿勢筋緊張の改善のためには、情動系がポジティブに取り組める課題を提供すると良いですね。


例えば、スポーツなど、からだを使う遊びが好きだった人には、風船バレーやキャッチボールをやってみてもいいだろう。
情動反応や注意が向上すれば、準備的姿勢筋緊張が整い、動作は安定します。

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